H邸 奈良県高市郡明日香村 2015年9月竣工

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建築地は奈良県の中でも歴史的風土が国家的に重要なものと位置付けられるような地域であり、実際現地の回りには古墳や遺跡等が随所に見られる。
周囲の住宅も純和風の美しい住宅が立ち並んでおり、場所と建物との関係性が非常に深い。
今回の建築計画についても景観条例等の制約の中での計画ではあったが、本来建築とは人と場所とを結びつけるものであり、周囲の景観と一体となって建築を計画するのは自然な流れであるといえる。

日本建築の魅力である「軒下」「縁側」という、外でもなく内でもない中間領域にある空間を効果的に実現できたのではないかと思う。
またその空間では屋外の豊かな自然が、外的要因として内部にも効果的に干渉しており、自然との一体化を図っている。
日本人であれば理由はなくとも落ち着く空間が軒下であり縁側なのだと改めて感じた。

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仏間・床の間を見る。左右対称の美しさの中に床柱が存在を放つ

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縁側の開口は奈良の豊かな自然を取り込むスクリーンとなる

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和室の障子を開けると30帖を超える大空間となる

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階段は小柱を減らして空間の一体感を高めた

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軒の深いバルコニーは、夏の直射日光を防ぎ、冬の太陽光は室内に届ける





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H邸
所在地/奈良県高市郡
主要用途/専用住宅
家族構成/3人

■設計・施工
設計 Studioわらび
構造 Studioわらび
施工 柏・建築工房
構造・構法 主体構造・構法 木造在来工法
基礎 べた基礎

■規模
階数 地上2階
軒高 6,487mm 最高の高さ 8,200mm
敷地面積 603.48㎡
(建蔽率 15.40% 許容 70%)
延床面積 128.55㎡
(容積率 21.30% 許容160%)
1階 92.95㎡ 2階 35.60㎡

■工程
設計期間 2014年6月~2015年5月
工事期間 2015年6月~2015年9月
敷地条件
市街化調整区域 法22条地域
第3種風致地区 歴史的風土保全地区
道路幅員 西4.00m